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| 稀人 |
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[ 2008-7-18 18:05:00 | By: bisdldoy ] |
道心は小波を教祖室に呼んだ。 小波は道心がなぜ自分を教祖室に呼んだのか、わからなかった。 「私に何か用事でもありまして」 「先程、泰子と嶋中君が二人でここに来てね。何を話したと思う」 「何を話しましたの」 「永心は私の子じゃ無いと言うんだよ」 「ええ!そんなひどい事を。では、誰の子供だと言うのですか」 「北河とか言うカメラマンの子だと言うんだよ。 何でも、その男は君の元同僚らしいね」 福源春 http://www.shanghaikanpo.com/view/1230.html 福寳 http://www.shanghaikanpo.com/view/1231.html 法国ka琳娜 http://www.shanghaikanpo.com/view/1236.html 29話 本文より。 小説サイト『小説を読もう』 「五郎御前のお出ましか……、見つかってしまったな」 決まりが悪そうに呟き、いつもは平静を揺るがさない朝綱も、このときばかりは逃げ場に困ったような表情になった。 母屋と副屋を結ぶ渡殿(わたどの)に、女が立っている。その気の強そうな顔に明らかな怒りの色を浮かべて、白々しく目を逸らす朝綱の態度が油を注いだようだ、彼女は足音も荒々しく渡殿を渡ってこちらに向かってきた。 「四郎っ! 信濃を呼びにやったはずでしょ!? また知らんぷりしたわねっ!」 瑞々しく清楚で、目鼻立ちのくっきりとしたその美貌は、おとなしくしていれば上臈(じょうろう)と称しても通らないことはない。だが、その眉根に現れた――東女らしいと呼ぶべきか――気性の強さは、どう贔屓目に見ても、京の女房だなどという嘘はつけそうにもない。 「まあ落ち着け、遠子(とおこ)」 「これが落ち着いていられますかっ!」 腰に手をあて仁王立ちに男たちを見下ろす彼女には、さしもの朝綱も押され気味だ。 親同士の決めた縁組で、彼女が水代家に嫁いできたのはつい半年前のことだった。水代郷の近隣に本領をかまえる大潟(おおがた)氏の娘ということでの縁組だったが、そもそもが水代氏とは遠縁関係にあり、何よりも、幼少から朝綱や宗平とは幼馴染であったせいか、彼女には遠慮というものがない。それは、朝綱が「夫」という立場になっても、彼女にとっては変わらないことのようだった。 口を開かなければそれなりに愛らしく見えるし、性格も気さくだから舅姑からは気に入られている。だが朝綱にしてみれば、幼少のおりの暴挙の数々――暴れ馬に乗るわ、刀は振り回すわ、石礫(いしつぶて)は投げるわ――を見ていれば、辟易したくもなるというものだ。 耳を塞いで閉口する朝綱に膝を突き合わせて、遠子は頬を膨らませる。 「それに、聞こえたわよっ。五郎御前ってどういうこと? あたしを五郎なんかと一緒にしないでほしいわね!」 「兄者、おれも夏津(なつ)なんかと一緒にされたくない」 太刀を磨く手を止め、宗平もうっそりと呟く。 猪突猛進、頭に血が上りやすい弟を妻に重ね合わせて、彼女を「五郎御前」と揶揄したのが聞こえてしまったらしい。当然ながら、そんなことに自分の名を使われて宗平も気分がいいわけがないのだが、幼名で呼んだことで今度は彼女の怒りの矛先を向けられることになった。 「あのね、あたしは四郎の妻なのよ。れっきとしたあなたの嫂なんだからね、『夏津なんか』だなんて気安く呼ばないでほしいわ。呼ぶなら『遠子殿』って呼びなさいよっ!」 「だったらお前こそ四郎とか五郎とか呼ぶのはやめろよな。もっと妻なら妻らしく、『朝綱殿』とか『宗平殿』とか呼べよ。まったく、礼儀を知らん女だな!」 「礼儀を知らないのはどこのどちら様かしら!?」 とやかく言いつつも、やはり性格も態度も似たところがあるらしいこのふたりは、ことあるごとに互いに絡んでいる。別段仲が悪いということではないのだが。 自分が何をしにきたのかも失念して、愛らしい顔を紅潮させて宗平に詰め寄っている遠子を見て、朝綱は呆れたように溜め息をつく。もしかしたらこの二人のほうが似合いの夫婦になれたのではないかと、他人事のように苦笑した。 「それで、遠子――。何か用事があったんじゃないのか?」 夫の声に、ようやく熱が冷めたようだ。遠子は恥じらいに頬を赤らめ、こくりと頷く。朝綱の言葉でおとなしくなるところなど、宗平とそっくりだ。ただ、宗平のほうは言い足りないようにまだ唸っていたが。 「ごめんなさい、あたしったら興奮して……」 ぺたりと板床に座り込んで、遠子は改めて夫に向き直る。 「朝、信濃から聞いたでしょ? 午後には父上様からの使者が来るはずだから、母屋に詰めてるようにって」 信濃というのは、遠子の乳母だ。大潟の両親からきつく「遠子を頼む」と言い含められてついてきたらしく、遠子以外の者に対してはやたらと口やかましい中年女なので、我慢できない性質の宗平はともかく、人当たりは良いほうの朝綱までが、近寄ることを敬遠している。 「あぁ、そんなことを言っていたかもな」 大敗毒 http://www.shanghaikanpo.com/view/1254.html 北京同仁 http://www.shanghaikanpo.com/view/1253.html 虫草強腎丸 http://www.shanghaikanpo.com/view/1259.html 「かもな、って」 用件だけならともかく、遠子に対する扱い――幼馴染とはいえもっと丁重にだの、夫婦なのだから暇があるときぐらいは一緒に曹司にいてやれだのといった、他愛もない愚痴をまくし立て始めたものだから、話半分で聞き流してしまっていた。今度は遠子が呆れ顔になる。言われてみれば――と朝綱も肩を竦めた。 「それでね、あなたがあちこちうろついているうちに使者が来たのよ」 「すまないな、こちらからは見えなかった。遠子が受けてくれたのか」 「母屋に母上様とあたししかいなかったんだもの、呆れたわ」 詰るように言って、だが、遠子はくすくすと笑い出した。 「誰でも良いから急ぎ御所へ参れ、ですって。せっかくですからあたしが参りましょうか、朝綱殿?」 からかうように小首を傾げる遠子に、朝綱も笑う。こういうところに愛嬌のある遠子を、朝綱は好きだった。親同士が決めた婚姻だということはあったが、好いていなければ朝綱もこの縁談に頷くことはなかっただろう。 目と目で笑い合う兄夫婦に、弟が居心地が悪そうにわざとらしく咳払いする。 太刀を鞘に戻し、朝綱は立ち上がった。だいたい父が「誰でも良い」というときは大概が自分を指名しているのだと、彼は熟知している。 「わかった。遠子、着替えを手伝ってくれ。五郎は俺の馬を出せ」 「はぁい」 「おう」 着替えのために副屋に戻っていく兄と遠子を横目に、宗平も立ち上がって太刀を鞘に納めて階(きざはし)を下りた。 普通、駒牽きなどは下人の役目なのだろうが、馬好きが高じて、宗平は兄や父の馬の面倒も一手に請け負っていた。掃除や餌付け以外は、家人に触れさせることもせず、自ら手入れしている。 厩に向かい、陽射しを遮るために閉ざされていた板戸を開ける。外より幾分暑気の和らいだ厩の中は、それでも蒸し暑い。馬たちが一様にこちらに気付き、親しむべき主人に鼻先を伸べてくるのを、宗平は満足げに見返した。手前の馬房の一頭が、黒々とした毛並みの中の濡れた瞳を爛々と輝かせて、宗平の肩口に鼻面を押し付けてくる。その鼻筋を撫で、彼はその差縄を柱から解いた。 この黒鹿毛(くろかげ)の英駿――遠雁(とおかりがね)が、兄の乗馬である。風にうたれる草原のように、黒い背がうねった。自らが今まさに駆り出されるのだということがわかっているのだろう、嬉しげに何度も頭を上下に振って足踏みをする。叢雲よりも少し丈高く逞しい、そして数段獰猛なこの馬を御せるのは、宗平と朝綱ぐらいなものである。つい先日には、うかつにもちょっかいを出した下人がひとり、指を半ばから食いちぎられそうになったほどだ。 猛る馬を宥めながら門のほうに牽き出していく宗平だったが、駆け寄る影に眉をひそめた。 「四郎の兄上がどこかに出かけるの?」 朝時だった。汗びっしょりになった額を袖で拭い、烏帽子がよれたを慌てて直す。ひとしきり騎射の練習をしたのだろう、その背後には八束を牽いて心もとなげに立つ下人の姿がある。その八束も、ぜいぜいと喉を鳴らして息をしていた。 「おい、ちゃんと八束の汗を拭いてやれよ」 「わかってるって。ねぇ、四郎の兄上がお出かけ?」 「お前の知ったことか」 火急の際だ、弟に構って喧嘩にでもなれば朝綱を煩わせるだけだろう。そう思い、相手にすまいと胸の内に誓った宗平の心とは裏腹に、弟は彼と遠雁にまとわりつき始めた。それだけならまだしもだったのだが。 「父上の御用なら、僕が行くよ」 宗平の胸の内など思いやりもしないその生意気な物言いが、気に障った。 「ばかか、お前」 罵って、宗平はつい、大きな手のひらで朝時の頭をぐいと押しやる。さすがの朝時も矜持を傷つけられたのか、むっとして兄の脛を蹴飛ばした。 「いてっ! こら、七郎っ!」 拳を振りあげる兄が手綱を握っていて動くに動けないのをいいことに、朝時はけらけらと笑い声を上げて飛びのく。宗平の手が届かない範疇まで逃げると、悪戯っぽく舌を出してみせた。 「このっ、いい加減にしろよっ!」 「捕まえられるもんなら捕まえてごらんよ!」 門前でやいやいと言い合っているところへ、秘色(ひいろ)の直垂(ひたたれ)をまとった朝綱が郎従を引きつれて現れた。 遠雁が、主人の登場に目の色を変える。早く外へ――とでも言いたげに、前肢で地を掻きはじめた。 この猛暑を微塵も感じさせない朝綱の涼しげな立ち居は、その場の空気の蒸し暑さすら払拭し塗り替えるような清々しさがある。弟ふたりの喧嘩など日常茶飯事のこと――とばかりに、彼は目もくれずに遠雁に跨る。 「兄上、三回も的に当たったよ!」 「そうか、上達が早いな」 軽くいなすような褒め言葉だったが、それでも長兄からの賛辞はこの幼さの残る少年には珠玉だったらしい。顔を輝かせる弟に、だが、宗平は舌打ちした。 「調子に乗せるなよ、兄者。馬の世話も一人前にできないやつを」 蹴られた脛を兄に見せて顔をしかめる宗平に、朝綱は今日何度目かの溜め息をつく。 「少し遅くなったな。結局、父上に叱責されるのはこの俺か」 「信濃のばあさまの小言よりはましじゃないか?」 「それも道理だな。やむをえん」 弟の口から出た揶揄に苦笑をもらし、朝綱は馬の腹を推す。 遠雁が足取りも軽く歩き出し、その後からふたりの郎等が従うのを見送る宗平に、朝時がそそくさと近付いてきた。 「かっこういいなぁ、四郎の兄上。僕もああいう兵(つわもの)になるんだ」 「なれるもんか」 小生意気な口ぶりに蹴られた脛の痛みがぶり返すようで、宗平は噛み付くように弟を威嚇する。 だが、少年はけろっとした口調で言ってのけた。 「なれるよ、五郎の兄上を見習わなければいいんだ。四郎の兄上は、五郎の兄上の育てかたを間違ったって言ってたからね」 「おまえ、それが兄に向かってたたく口か!」 埒が開かないとはこのことだ。拳を振り上げて怒鳴る宗平の脇をすり抜け、朝時は無邪気な笑い声を上げながら馬場のほうへと走り去る。その後を、彼が愛でている白い仔犬――鳩音(あつね)がまろぶように駆けて追っていった。八束を牽いた下人が、困惑したようにその背中と宗平とをしばし見比べていたが、むっつりとした視線に慌てたように飛び上がり、抗う八束を無理やり牽いて馬場へと逃げていく。 怒る気も失せて、宗平は邸を見渡した。 酢酸経口避妊薬片 http://www.shanghaikanpo.com/view/1258.html 虫草九鞭王 http://www.shanghaikanpo.com/view/1261.html 超細螺旋藻 http://www.shanghaikanpo.com/view/1263.html 朝時の明るい笑い声が響くほかは、暑さでよどんだ空気の中に活気ある人の声は聞こえない。櫓門を見上げれば、楯が作り出すわずかな日陰に身を寄せた郎等たちの目も虚ろで、しきりに滴る汗を拭っている。厩に居並ぶ馬たちも、その傍らにしつらえられた小屋の中の鷹たちも、みな一様にぐったりと脱力していた。 陽は正中よりも少し西にあって、ようように傾こうとしていた。ようやく、わずかに暑さをしのげる夕刻がやってくる。それがまだ先であることに溜め息をついて、宗平も涼を求めて日陰へと歩き出した。 茹だるような夏の午後。 人々が気だるげに行き交う往来に、もうもうと乾いた砂煙が立ち上がる。久しく雨に恵まれていない鎌倉は、大路の砂も邸の屋根も満遍なく干上がらせていた。木々も水を欲しているのだろう、風が吹くたびに雲を手繰り寄せようとするかのように重たげに揺れる。どれもこれも、ここ数日繰り返されている――、そしてこれからも繰り返される風景。 夏が過ぎるまで、同じような日々が変わりもなくつづくのだろう。 そう、誰しもが思っていた。このときまでは。 本日志相关的主题:
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